12月22日 日曜日
 今日は百星かるた会で,新しい台と札を試していただきました。
 個人戦と団体戦。しかも個人戦では自陣12枚,相手陣12枚並べて対戦……みたいな。でも何の手がかりもなく,自陣,相手陣の札の並びを全て覚えて……というのはハードルが高いので,暗記時間の後,札を4枚指定し,その4枚の場所を確認していただいてから,その中の1枚を読み上げる形にしました。
 如何せん初めての経験ですので,皆さま慣れるまで多少時間がかかりましたが,やり方を理解するとかなり白熱の戦いとなりました。
 団体戦は2人対2人で,選手一人あたり6枚の札を配り,配られた札を各選手自陣に並べました。その後,相手陣の配置を覚え,いざ対戦とあいなりました。
 相手陣の札を取ったら,自陣の札を一枚送る形で,いちはやく自陣がなくなった方が勝ちというルールや,お手つきのルール,取りは札に先に触った方……というルールを取り入れました。
 一般の競技かるたの選手が審判に入ってくださったことで,本当にスムーズに競技を楽しむことができました。
 私は点字の読み取り速度は大変遅く,複数の札を飛ばしたら,その中のどれが当たり札か見つけるのは至難の業です。ともすると点字の読みの速さを競い合うことになりかねない従来の形から,純粋に当たり札にいち速く触れた方の取りが認められる形になりました。
 ということで,今までネコが相手の取りだと思って譲ってしまったような場面でも,ネコの方が先に札に触れて,取りが認められる場面が何度かありました。
 多分,バリアフリーかるたの世界の景色が,これから一変していくような気がしています。
12月20日 金曜日
 今朝の宇都宮は,濃霧だったようです。そのためネコはいつもバスを降りるエサ場最寄りのバス停の,一つ前のバス停でバスを下ろされてしまいました。
 繁華街ど真ん中で遭難です!!繁華街とはいえ,早朝は人通りがほとんどなく,私はどこ??ここは誰??みたいな状態です。
 全く全く,1年に1度くらい,こういう運の悪いことが起こります。目の見えている人にとっちゃぁ,間違ったバス停アナウンスが為されたとしても,多分いつものバス停で降りるでしょう。百歩譲って間違ったバス停で降りてしまったとしても,さほど困らないでしょう。しかしこれが盲人となると……。
 いやいやこういう時にこそうまく対処できるよう,日ごろから訓練が必要??うぅん,腑に落ちまへんなぁ……。
12月18日 水曜日
 ネコの目は,網膜色素変性症という難病のため,かろうじて光を感じる程度の視力しかありません。
 最近,神戸アイセンターというところで,今までは治療困難と言われてきたこの病気の,IPS細胞を使った治療の臨床実験が始まることとなりました。
 神戸アイセンターといえば,バリアフリーかるた体験会をバックアップしてくださっている機関で,今までに体験会の会場にもなりました。
 臨床研究の対象者の選定が行われているようですが,対象者にしてほしいと名乗りを上げている患者さんが3000人ほど列を為しているとの噂があります。
 さてさて,ネコの思いですが,今から目が見えるようになる…と言われても,「へぇ,そうなんだぁ……」というのが正直な気持ちです。
 理由は,今,見えないというこの状況で,とても幸せに生きているからです。もし,これから目が見えるようになったとして,今の幸せを保ち続けることができるかといったら,難しいと感じるからです。
 幼い頃の夢は,「目の病気が治ること」でした。しかし,今の私の夢は,「幸せな最期を迎えること」です。そう考えた時,ネコは自分の目の病気を治すことよりも,私たちが生きているこの地球の環境を,人間が生き続けられる様保つことに尽力すべきと思うのです。そのために何ができるって??できることいっぱいあります。
 ま,一人一人のできることなんてちっぽけで知れているのですが,塵も積もれば……ですからね。
12月11日 水曜日
 最近,新しい台に対応した札の製作に勤しんでいます。といったって,素は京都ライトハウスのバリアフリー札なのですが。
 それに百星の点字のオーソリティーTさんが手を加え,裏に上の句の拡大表示と点字による決まり字の表示のついた札を作って下さいました。
 さらに,そこに私が手を加え,新しいカルタ台にフィットするようにしました。現状では自陣に札を並べると,点字で下の句が表記されています。ですが相手陣に並んだ札は,とりあえず並んだ状態で,上野句の決まり字を確認できるようにしました。
 自陣に並んだ札の上の句がわからない時は,札の裏を触れると,確認できます。
 弱視の方は……。視覚的には点字を指先で確認するのとはちがって,相手陣に並んだ札を見れば書かれている文字が認識できますので,拡大文字には手を加えておりません。これで当座,かなり楽しめると思います。
 手を加えるにあたって,特殊素材を使っておりますが,その入手についての苦労話なんかを明日の日記で紹介させていただこうと考えております。お楽しみに!!
12月6日 金曜日
 夕方3時から5時まで,中央小学校放課後かるたクラブのお子様たちと,百人一首で遊びました。新しい競技台に五色の黄札を並べての練習です。
 慣れて来た子供たちは,3枚の札を同時に払い飛ばすことができるようになりました。でも,複数枚同時に飛ばしても,せいぜい札は30センチくらいしか飛びません。一枚ピンポイントだと3メートルくらい飛ぶのですが……。
 視覚障碍者が対戦することを想定して考えているルールもガンガン試しているのですが,なかなか面白そうです。6年生が3年生に負かされ,競技かるたの上級者が,身体能力が異様に高い初心者に負かされ……。それでも四人一首に比べたら,はるかに奥深い可能性があって。よいんでないかなぁ…なぁんて勝手に思っています。
12月4日 水曜日
 新しい競技台,まとまった数あった方が,今後の展開を考えると,よいかなぁ……と思い,材料の特殊素材をメーカーに発注しました。
 メーカー直送ならば業者を通すよりも若干安くなるのかと思いきや,そうでもなかったです。
 試作台の材料費,1枚800円と書きましたが,その後,計算してみて1050円ほどかかっていたと判明。それを,材料を製造業者から直接おろしていただいて,1枚当たりの材料費が990円となりました。
 札ですが,京都ライトハウス製(3000円)をベースに,台に対応させるための材料費が約1000円。諸々の経費を考慮し,台は1枚1500円,札は1セット5000円ほどでお分けできるようになると思います。それまでにいろいろな方々にお試しいただけるように準備しなければ……。
12月2日 月曜日
 視覚障碍者が自陣25枚,相手陣25枚の札の配置を覚えて競技することは,かなり難しいことです。しかし,自陣25枚,相手陣25枚の札が並んだ状態で,健常者と視覚障碍者が向かい合って百人一首の対戦を楽しむ方法を見つけました。
 南沢さんがいつも子供たちにやらせている方法,そっくりそのまま使えるじゃないの??ってやつです。
 そういえば南沢さんは競技かるたをバリバリやる6年生の前に,わざわざ1年生を座らせて,場にある4枚を指定して二人で札の位置を確認させ,確認させた4枚の中の1枚を読み上げて取り合わせる練習をよくやっております。
 1枚読んだら次の新たな四枚を指定し,場所を確認させて,その中の1枚を読む。もちろん場にない50枚は適宜空札として織り交ぜながら読んでいるのですが……。
 競技開始から30分が過ぎ,両陣合わせて札が20枚残っている状態になると,1年生でもある程度残りの札の配置を覚えています。というところで場にある札の枚数が20枚になったらランダムに読み上げて取り合わせる……。
 ところで,視覚障碍者がいきなり50枚というのはハードルが高すぎますので,自陣相手陣合わせて20枚カラ札ナシからこの練習を積み重ね,競技かるたのトップ選手たちがこなす年間400試合をこなしたら……。
 多分練習をしている人とそうでない人との技術の差が歴然と出てくるかなぁ……と。また,狙い札を指定しなくとも,競技ができるようになるのでは……と。
 そこでドラネコがこれから提案していくかるた台の登場でして。今は最大30枚の札を自陣と相手陣に15枚ずつ分けて並べることしかできませんが,改良すれば自陣25枚,相手陣25枚を置けるように作ることはさほど難しくありません。ただ,われわれ当事者が技術をみがいて,そのレベルまで行かなければ,無駄な努力となってしまうのですが……。
11月30日 土曜日
 今日は東京の滝野川かるた会の小山先生が,宇都宮市立中央小学校に遊びに来て,夕方まで子供たちと百人一首を楽しみました。
 中央小学校を今年3月に卒業した中学生のお姉さんも久しぶりに遊びに来て,札読みをしてくれたので,ネコは札を並べて子供たちの横で札を取っていました。
 午前中は五色かるたを使って,視覚障碍者の競技かるたの新開発台で子供たちは必死に練習しておりました。新開発台,効果絶大です。ピンポイントに狙ったあたりの札のみが飛び,(同時に3枚飛ばすのはかなり難しい),そして飛んだ札以外は乱れることなく台に並び……。
 いよいよ百星の会の関場理生さんの考えた,送り札のルールを全面的に取り入れた団体戦,対面式で一枚の札を二人で取り合う形の時代が幕あけかな??みたいな。皆様,お楽しみに!!
11月27日 水曜日
 東京は風邪が猛威を振るい始めたとか。そういえば南沢さんの小学校でも,鼻声の子供たちが増えたとか。みなさん,風邪などひかぬよう気を付けてお過ごしくださいね。
 ネコは紅茶のティーパックにお湯を注ぎ,そのままほったらかしながら,15分か20分ごとに1度ずつ,口に含むようにしています。最初は渋さに顔をしかめておりましたが,今ではその渋みが何とも心地よいというか,口の中からこの渋みが消えてしまったら,禁断症状が出そうな勢いです。多少は風邪の予防になっているような気がしています。
11月23日 土曜日 勤労感謝の日
 とはいえ,南沢さんは,小学校に子供たちを集め,百人一首をして遊んでいました。ネコはその様子をじぃっと感じておりましたが,相変わらずピリピリ感0というか,ゆるぅい空気の中,みんな楽しんでおりました。
 1年生から3年生までは,新しい競技台を使ったミニ競技かるた,そして高学年のお友達はそれと同時進行で競技かるたをしておりました。
 この日は,宇都宮女子高等学校かるた部のお嬢様が一人,遊びに来て,子供たちの相手をしてくださいました。最初,3年生の女の子が相手になり,3年生の女の子,お姉さんから4枚,札を取りました。3年生の女の子,めちゃくちゃ悔しかったようですが,4枚取ったということは超大健闘ですので,褒めつつ励ましました。この3年生,第二試合では6年生の男の子と試合をし,大金星を上げました。
 第二試合では高校生のお姉さん,6年生の女の子と対戦しました。6年生の女の子,負けてしまいましたが18枚取れたそうです。いやぁ頑張った頑張ったってことで,次は負けないよう日々精進するそうです。
 高校生のお姉さんがお帰りになった後,お姉さんに相手をしてほしかったと訴える小学生続出……ということで,また遊びに来ていただけるよう,お姉さんを拝み倒すことにしました。
11月20日 水曜日
 新しく作った競技台に札を並べて,札を払って遊んでいます。札の飛び具合は……。いまいちって感じです。というかやっぱり一般の競技かるたのように派手に飛ばすことはかなり難しいです。
 台に並べた札の点字を指先で読まなければならない都合,そのための対策が取られており,それが札の飛びをいまいち悪くしている感じです。
 ただ,札のある部分を指先で素早く払うと,その札のみ鋭く飛んでいきます。目の見えている子供たちは視覚的にその部分を把握して狙うことができるので,ピンポイントで読まれた札を狙えれば,面白いことになります。
 ところが試合の序盤は,札がたくさん並んでいますので,ピンポイントで狙うことは難しく,その局面では複数の札を同時に抑えることが有効になりそうです。また,視覚障碍者の競技かるたでは,送り以外の場面では基本,札移動はしないように決めざるを得ないと思うのですが,そうすると終盤まで札が固まって置かれている部分と,ある程度早い局面から単独で札が置かれている部分ができてきて,どこを狙うか,どの札を確実に取っていくか……という作戦的な頭の使い方も求められて,楽しいことになりそうです。
 例によっていろいろと課題は出てくるかと思いますが,時代は前にどんどん進め,楽しさも広めていかなければ……という感じです。
2019年11月18日 月曜日
 ついに,団体戦用に使うことを意識した競技台が完成しました。台の製作費は一枚約800円。ただし特殊な材料を使う都合,一度に7枚単位で作らないと,1枚当たりの製作費は跳ね上がってしまいます。すなわち7枚を製作する材料費が約5600円ってことですね。
 製作開発は,本田技研工業の自働車開発部門OBのN氏が,中央小学校放課後子供クラブの子供たちの協力を得て行いました。
 視覚障碍者が一般の競技かるたに近い形で,読まれた札を取り合うことができます。札を払って飛ばすことも,もちろんできます。その際,手に触れた札のみが飛び,後の札は台からずれたり並びが乱れたりしないことが,最大の特徴です。
 視覚障碍者が,札の置かれている位置を把握できるようにする工夫も随所に織り込まれました。一般の競技かるた,四人一首,そして百星かるた会で工夫された送りのルールを駆使し,札を持ちあげる速さを競うのではなく,純粋にどちらの選手が先に札に触れたかを競い合う形が可能となりました。
 ペットボトル完全再利用のPP素材,車の安全性を高めるための,耐久性に優れた特殊素材を組み合わせ,重量約120グラムの超軽量競技台が,ついに完成です。
 寸法と形状は縦30センチ×横47センチの長方形で,一枚の競技台に,自陣,相手陣の全ての札を並べられる形となっています。自陣,相手陣には,それぞれ最大15枚(合計30枚)の札を置くことができます。
 小学生低学年児童は五色百人一首の青札を使い,自陣10枚,相手陣10枚の計20枚を並べ,競技カルタのルールで札を取り合っています。

それでは,新しい台を使って,3人対3人で団体戦をする際のイメージをまとめます。
〔使用する札〕
・相対式札(ライトハウスの札を両方向から読めるようにしたものを想定)
〔使用枚数〕
・任意の48枚。(慣れるまではもっと少なくてもよい)
〔方法〕
@ チーム内で「主将」「副将」「参謀」を決める。
※主将タイ首相,副将対副将,参謀対参謀の3つの対戦を同時並行で行うイメージとなります。
B 試合で使う48枚の札を裏返して混ぜ合わせ,主将対主将用の16枚,副将対副将用16枚,参謀対参謀用16枚を取り分ける。
C 3箇所それぞれの対戦で,選手は16枚を8枚ずつ分け合い,自陣に並べる。
D暗記時間10分の中で,札の配置を覚える。
E使用する48枚を,一般の競技かるたに準ずる形でランダムに読み上げ,試合を行う。
F読まれた札のある陣の札は,どれをさわってもお手つきとはしない。また,当たり札のない陣の札に触れた場合は,お手つきとする。
G相手陣の札を取った場合は,自陣の札を一枚,取った札のあった場所に送る。
H相手がお手つきを下場合,自陣の札を一枚,相手に送ることができる。その際,札を置く場所の決定権は,札を送る側が有するものとする。
Iそれぞれの対戦で,自陣の札を先に0枚にした方を一勝とし,先に2勝したチームの勝ちとする。
 さてと。多分めちゃくちゃ楽しくて,さまざまな心理戦的な駆け引きの要素が加わってくると思います。皆さま,期待してお待ちいただけますと幸いです。
2019年11月13日 水曜日
 第一回バリアフリーかるた全国大会から,早10日が過ぎてしまいました。あれからネコは相変わらず寝る時間が取れず,今に至っております。結局どれもこれも中途半端……みたいな。ごめんニャさぁい!!って感じです。いろいろと少しずつ片づけていきますので,首を長くしてお待ちいただけますと幸いです。
11月2日 土曜日
 記念すべき第一回バリアフリーかるた競技全国大会が開催され,団体戦で福島県チームが優勝しました。わがチームドラネコは,初戦敗退。二戦目も惨敗。そういうこともあります。でも,参加者みんな大満足でした。
 例によって参加者さんや支えてくださった方々の生の声をいただきましたので,編集終了し次第,御紹介させていただきます。
 それが……。icレコーダーのメモリーの劣化により,音質が非常によろしくなくて,お聞き苦しいかと思いますが,ご了承ください。撮れていた音を聞き直して,びっくりたまげた何とやら……ってことで,主催者の理生さんと,事務局の理華さんの声だけは,メモリーを入れ替えて録音したら,こちらはバッチリでした。
 さてさて,音源やら写真やら,整理できたら御紹介させていただきます。全面的に多忙極まりない状況に変化はなく……。頑張ります。

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