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 芥川龍之介の代表作『杜子春』の登場です。今回は録音マイク新調記念ということで,すき間風が肌にしみる和がオンボロ部屋での熱演をお届けします。
 ところでみなさん,私の朗読を聴いて,いともたやすく読んでいるように感じるかもしれません。しかし実際は,さにあらず!!なのですよ。
 例えばこの作品,「杜子春』には,主な登場人物というか声が,6種類登場します。
 主人公の杜子春,片目すがめの老人(鉄冠子),天の声,神将,閻魔大王,鬼という6種類です。
 作品の内容を聴き手に印象付けるためには,それぞれの登場人物の性格や特徴を具体的にイメージし,各々の独自の口調を作る必要があります。
 そのために,朗読する作品を何十回となく下読みしたり,それぞれの台詞を抽出して,声に出して何度も繰り返し練習したりする必要があります。
 翻って考えるに,作品そのものの価値に迫るためには,誰かに読み聞かせることを前提に,場面や登場人物の様子,口調を具体的に想像し,表現することを念頭に,試行錯誤を繰り返すことが,最も効果的です。
 今は世の中全体が,大変な状況にあります。しかし,こういう時だからこそ,じっくり時間をかけて取り組めることもあります。是非,お気に入りの本を,誰かに読み聞かせるつもりで,何度も何度も声に出して読んでみてください。
 ところでこの『杜子春』という作品には,ものすごく残酷で,耳をふさぎたくなるような場面がいくつか出てきます。
 初めて読んだり聴いたりする時,その悲惨な部分のみが心に強く残り,もしかすると作品への拒絶の意識が生まれるかもしれません。しかし,特に芥川作品については,お話全体のバランスの中で,読者に感じてもらいたいことが表現されていますので,是非,通して何度か聴いてみて,作品全体が何を伝えたいのか,想像力をたくましくして感じ取ってほしいと願っています。
 それではみなさん,お話の世界をお楽しみに。
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