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 私は幼い頃,教室で先生からこのお話を読んでいただき,それ以来,心のどこかで「自分は観陀多かもしれない」と思い続けてきました。
 観陀多とは,このお話に出てくる大泥棒で,生きている時にあまりにも悪いことをし過ぎて,地獄に落ちています。
 もちろん私は地獄に落ちているわけではありませんが,たまぁに天から蜘蛛の糸が垂らされて,それを必死でよじ登っているような気がすることがあります。
 でも,私の心には,蜘蛛の糸のお話で観陀多が犯してしまった大失敗が,強い恐怖として焼き付いており,その恐怖が私を強く戒めてきました。おかげで私は,今でも誰かが私の真似をしたとしても,決してそれを責めることはありません。
 ところで私は,この姿勢を貫く中で,強く実感したことがあります。それは,
「私がよじ登っている蜘蛛の糸に,何千何万の人がついてきたとしても,多分誰も最後までついてはこれないだろう」
ということです。逆を言えば,私が誰かののぼっていく蜘蛛の糸を,後から追い続けることなど,とてもできません。
 そのくらい,一人一人の生き方には,その人なりの個性があって,オリジナリティーがあって,尊いものなのです。
 もし観陀多が,蜘蛛の糸のお話の中で,後からついてくる人たちに向かって,心ない言葉をかけなかったら,このお話はどうなっていたのでしょうか……。
 多分,観陀多一人が助かるのだろうと思います。でも,今のコロナ騒動の混乱の中で私が願うシナリオは,ついてきた全ての人々が,地獄から脱出することです。
 みんなが本当に幸せに暮らせる日常が,いち早く戻ってくることを,心から祈って止みません。
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