傍役人ども,
いやさ極悪非道の人間ども,
いくらで俺の宝(ジルダ)を(侯爵に)売り飛ばした?

金のためなら善悪の見境もなくやりやがる!だが,
わしの娘は金では買えぬ宝物だ。返してくれ………
兇器こそは握らぬが,この手はおぬしらにとって血生臭いぞ!
人間たるもの,わが子の名誉を守るとき,
この世に恐れるものはない。
お役人方,
あの扉を開けてくれ。

(扉に詰め寄るが,廷臣らに阻止される。やや争うが,力尽きて舞台の前方え戻る)

ああ!おぬしらは寄ってたかって,わしにたてつくのだな!

えいくそ,涙がこぼれらあ。マルッロ,人の情けを知っているこなたよ,教えてくれ,あいつらはどこえ娘を隠したか?あそこか?そうだろう?黙ってるな!ああ!

おい旦那衆,勘弁じゃ,後生じゃ!このおいぼれに娘を返してくれ!娘を返すに何の苦労があろう。娘はわしにとってはこの世の全てじゃ。
旦那衆,勘弁じゃ,勘弁じゃ,後生じゃ。わしに娘を返してくれ,娘はわしにとってこの世の全てじゃ。後生じゃ,旦那衆,後生じゃ。