童話の背景(執筆:南沢 創)
 2011年3月11日,東日本大震災が起きた時,私は栃木県立盲学校の教員でした。
 盲学校は,宇都宮市郊外の,鹿沼市に近い閑散とした場所にあります。JR線の宇都宮駅までは,スクールバスで40分くらいかかる,そんな場所です。
 震災の日,宇都宮市は震度6強の烈震に見舞われました。盲学校の校舎はあちこちでガラスが割れ,子どもたちの作業小屋は全壊しました。
 私は夜7時頃,スクールバスで宇都宮駅に到着しましたが,駅から自宅に向かうバスは動いていませんでした。
 仕方なし,歩いて帰宅することにしたのですが,その時,見ず知らずの女性が声をかけてくださいました。
「この辺りはところどころ壁が崩れていたりして,お一人で歩かれるのは危険です。歩きで申し訳ないのですが,御自宅までお送りします。」
 私はそのお言葉に甘え,駅から4キロほど離れた自宅まで,その女性に手を引かれて歩き始めました。
 私の自宅は,大通りから細い路地に入り,しばらく進まなければならない場所にあったのですが,いつも通っている道は,壁が崩れて通れない状況になっていました。仕方なし,大回りをして別の道を通って自宅へ向かわなければならなかったのですが,はてさてわが家に通じる道がいったいどこにあるのやら,分からない状況でした。
 私はふと,素晴らしい方法を想いつき,その方法によって家にたどり着くことができました。
童話『僕の言葉が届いた日』は,その時の実体験に基づいて書きました。さて,どんなドラマが展開されるのでしょうか。それでは没原稿の世界,お楽しみください。
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 ついでにこの童話を執筆する前に書いたエッセイがありますので,そちらもどうぞ!
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